2026/06/29 18:10

夏が近づくと、必ず頭を悩ませる。

何を穿くか、だ。

弘前の夏は短い。梅雨が明けたと思ったら、あっという間に濃い青空が広がり、岩木山のシルエットが夏の光の中にくっきりと浮かび上がる。
その季節が来るたびに、クローゼットの前で少し立ち止まってしまう。

Tシャツ一枚でいい日もある。でも、少し出かける気分のときに、「どうせ暑いから」という理由だけでボトムスを選んでしまうと、なんとなく一日が締まらなくなってしまう。トップスをどれだけ丁寧に選んでも、足元が「とりあえず」になってしまうと、どこかぼんやりしてくる。

かといって、夏に厚手のウールトラウザーを選ぶ気にはなれない。リネンも好きだが、毎日というわけにはいかない。ショーツもよく履くが、どこか子供っぽくなってしまう。コットンのイージーパンツも悪くはないが、もう少し背筋が伸びるようなものが欲しいと思うことがある。

素材の選択肢が限られる夏のボトムスは、ある意味で一番難しいアイテムかもしれない。

そんな問いに、nonnotteが一つの答えを出してきた。

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nonnotte “2-Tuck Draw Cord Wide Trousers (With Lining) (Rust Beige)”


このパンツを語るとき、まず素材の話をしなければならない。

nonnotteがこのトラウザーのために選んだのは、自ら「Eau de Chemise(オー・ド・シュミーズ)」と名付けた、独自開発のウールナイロン生地だ。フランス語で「シャツの水」を意味するこの名前は、素材の本質をそのまま言葉にしたものだと思う。

ウールでありながら、まるで水のように軽い。空気を含むようにエアリーで、肌から離れるようにさらっとしている。着ると、何かを着ているという感覚が薄れる。それがこの素材の特別なところだ。

「ウォッシャブルウール」という言葉でくくることは簡単だが、デザイナー自身がそれを嫌う。
一般的に、ウォッシャブルウールに加工するには、塩素処理やポリマーコーティングを施し、羊毛のスケールを溶かしたり、小さくしたりすることで生地のフェルト化を防ぐ。
しかし、この素材は薬品処理に頼っていない。紡績の段階で毛羽を内側に巻き込みながら撚糸し、糸の芯にナイロンを12%だけ忍ばせることで、強度と形状の安定性を確保している。洗濯機で洗えるタフさと、ウール本来の上品さが、そのまま両立している。
世にいう「ウォッシャブルウール」とは一線を画す生地となっている。


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今回のカラーは「Rust Beige」。名前から想像するよりも、ずっと柔らかい印象だ。
糸の段階で先染めを施しているため、色の深みがまず違う。

実際に目にすると、やや赤みのあるクリームような地色に、テラコッタのような赤みを帯びたストライプと淡いピンクの細いストライプが等間隔に走っている。そのストライプの色が地に滲むように溶け込んで、全体としてほんのりピンクがかった淡い表情をつくり出している。遠目には優しいトーンのパンツに見えるが、近づくとストライプの線が繊細に浮かび上がる。そのギャップが、このパンツをただの「ストライプのワイドパンツ」にしていない理由だと思う。

光の当たり方によっても顔が変わる。屋内では静かでクリーミーな印象に、日光の下ではストライプのテラコッタが少し顔を出して、温かみが増す。
どちらの表情も、品がある。

合わせるトップスを選ばない色でもある。着用写真のようにダークブラウンを持ってくると、淡い地色との対比がきれいに決まる。白やオフホワイトでトーンを揃えれば、ストライプがほどよいアクセントになる。主張しすぎず、でも近くで見るとちゃんと手がかかっている。そういう色だ。

何度洗っても、この色は褪せない。着重ねるうちに自分の体の動き方や癖が少しずつ生地に刻まれていく。
そうやって時間をかけて、自分だけの一本になっていく。


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179cm 66kg SIZE 3 着用
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リラックスと構築性の、絶妙な同居

シルエットはワイドストレート。
しっかりと太さがあり、穿いた瞬間にゆとりと風通しを感じる。

ウエストはドローコード仕様になっていて、ぎゅっと絞るだけでウエストが決まる。また、ベルトループも配されており、濃い色のベルトを通すとより洗練されたような別の表情を見せてくれる。
無骨な軍パンのようなムードが生まれるのに、フロントには2本のタックが配されているため、どこかテーラードの品格も漂う。力を抜いているのに、だらしなく見えない。そのバランスが、このパンツの核心だと思う。

透け感のあるEau de Chemiseを生地に使っているため、内側にはしっかりと裏地が付いている。それでもウールのドレープ性は損なわれず、歩くたびに生地が揺れ、陰影が生まれる。夏の光の中で見ると、それがひとつの表情になる。



最後までお読みいただきありがとうございました☆

夏のボトムスを、もう一度丁寧に選んでみてほしい。

ぜひ当店で、実際に手に取って試してみてください。

H.inch 三上



H.inch(アッシュインチ)
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